リスク・マネージメント:不確実性への対処

要人誘拐や、会社の不祥事が起こると、企業のリスク・マネージメント体制の不備がよく議論されます。「ビジネスの基本はリスクをテイクすることである」という基本に従えば、リスクへの対処こそ、企業活動の基本であるということもできそうです。

企業も、個人も不確実性の中で生きていくしかなく、未来は確率としてしか評価できません。そのような中で、あるアクションを評価するときは、期待利益(現在価値)を計算します。

期待利益は、起こりえるさまざまなケースの、それぞれの発生する確率と利益を掛けて得た値を、全てのケースに付いて合計することで求めます。

この中で、リスクと称されるものは、起こりえる確率は小さいけれど、それが起こったときの損失が莫大となるケースです。企業が存続すること、あるいは、赤字、無配転落を避けることを絶対条件として経営するなら、おのずからテイクできるリスクの大きさには限りがあります。

経営学の教科書的には、リスクは、経営内部要因と経営外部要因とに大別されます。

経営外部要因というのは、天災、犯罪、事故、政治・経済的変動など、経営者の努力が及ばない原因で起こるリスクであり、一般には、保険などでリスクの回避を図ることになります。

経営内部要因というのは、放漫経営、技術的失敗、労使紛争など、経営者の努力によっては避けることが可能なリスクで、これに対しては、経営者ががんばるしかない。

これは、静的(スタティック)な見方なんですが、もっと動的(ダイナミック)な見方もできます。

ビジネスの基本は、リスクをテイクすることであるとの前提に従うと、競争的な環境の中でビジネスを成功させる条件は、他人と自分とのリスクの大きさに差を付けることだということになります。このためには、他人よりも、ビジネスに対する不確実性を減らすこと、つまり、情報を他人より多く持つことが基本になります。

情報は、さまざまなニュースをすばやくキャッチすることでも得られるし、研究によって、法則性を発見することによっても得られます。

新しいビジネスは、初期には、不確実性が高く、リスクが大きいものです。研究が進むと、不確実性が減るのですが、そのときには、多くの企業が参入し、競争が激化して、利益は減ってしまいます。

他の企業にとって、リスクが大きすぎて参入できない事業でも、自社は、そのリスクをテイクできる程度にまで低減できるだけの情報を持っていれば、いち早くその分野に参入し、成功を収めることができるのです。

つまり、情報の収集、伝達と、研究開発がビジネス成功の基本ということになるのでしょう。