「ヤバい経済学」を読む

「やばい」などと今朝方のブログのタイトルに書いてしまったからか、「ヤバい経済学」を読み直しました。

まあこれ、経済学というよりは統計学の本でして、統計的事実から、世の中の真実(常識に反する形の)が明らかになる、ということを扱ったものです。

大相撲の八百長の話は、冗談抜きにやばそうな話ですので、ここでは扱いません。同書p282の訳者解説と似た心境であるのですね。

それにしても、この手のこと、ライブドアの時もそうだったのですが、特に殺人事件を疑わせるような事態に対しては、きちんとした真相解明がなされませんと、わが国は暗黒社会が支配している、などというあらぬ疑いをかけられてしまいます。ジャーナリストに刺客を送ったとされる、プーチン率いるロシアと同類の国家である、などと諸外国の人間に思われるのは嫌なのですね。

さて、話題をあたりさわりのないところに戻しましょう。セルフサービスのベーグル(ドーナツ型をした硬めのパン)販売に関する話です。これは、ベーグルと料金を入れる箱を客先のオフィスにおいて、ベーグルを取った人が引き換えに箱に料金を入れるシステム。つまり、代金を払うのは客の自主性に任されているのですね。この商売が成り立つのは、客が善良であるから、でして、料金の回収率は85%程度と高い結果が得られた、とのこと。

興味深い点は、料金の回収率に関する統計データが場所別に得られる点でして、たとえば、役員フロアでの料金回収率が低い、などというデータが得られています。その理由をダブナーは次のように書きます。

さらに彼は、会社での地位が高い人のほうが低い人より支払いをごまかすことが多いと考えるようになった。そう思うようになったのは、フロア3つ――一番上が役員フロア、下2つが営業、サービス、管理に携わる従業員のフロア――に分かれた会社に何年も配達を続けてからのことだった(役員たちの特権意識がいきすぎてそういうことになったのかもとフェルドマンは考えている。彼が考えていないのは、そもそもそういう連中はインチキしたからこそ役員になれたのかもってことだ)。

もちろん、著者のダブナー氏、セルフサービス式ベーグル業を営むフェルドマン氏が考えていないことを考えていること、間違いはありません。

最近、日経朝刊のやさしい経済学のコラムで、人間の利己的、利他的性向を判断するテストを扱っておりまして、日本人は欧米人に比べて「意地悪」である、という結果が紹介されています。自分が損をしても、他人に損をさせたい人種である、ということなのですね。

どうも、ホリエモンや村上ファンドに対して多く出ております「金儲け批判」も、この意地悪な日本人の性向と一脈通ずるところがあるような気がいたします。ヤフーファイナンスの掲示板にも、同様な傾向が見られるのですが、実際問題として、他人がどれほど儲けようとどうでもよい話であって、要は自らの利益が最大化すれば良いだけのことだと思うのですがね。

ここに紹介されておりますセルフサービス式ベーグル販売、果たして日本のオフィスでやったら、どのような結果になるか、興味の尽きないところであります。

なお、訳者あとがきには、本文に書かれていないデータが以下のように追加されております。

なお、ポール・フェルドマンのお客の中で、ダントツで回収率が悪い業界が1つあったそうだ。お客の悪口は、普通は言っても何の得にもならないけれど、この業界を相手に商売するのはやめようと思ったほどだということらしい。何の業界かといえば、「テレマーケティング業界」、つまり電話での売込みを専門にやる業界だそうである。

なるほどね。さもありなん、です。証券業界やIT関連業界ではどういうデータが出るのか、少々気になりますね。ま、一部の投資業界や商品先物業界は、テレマーケティング業界と重なっておりますから、そちらの結果はだいたい予想がつくのですが、、、

データでインチキを暴く例といたしましては、全国共通試験の解答を教師が書き直す、という事件でして、これも解答用紙の内容を統計的に分析すればインチキがわかる、というわけです。日本でも教育の質が問われるようになりますと、この手のインチキに対する対応策も準備しておく必要がありそうです。

日本の教育関係者ははるかにまともである、などという方がおられるかもしれませんが、今は、必須科目をすっ飛ばしてその時間を受験勉強にあてる、などというはるかに大々的なインチキがばれて、対応におおわらわ。わが国の教育関係者はインチキをするものである、ということを前提に事にあたらなければいけないこと、疑う余地もありません。

その他、KKKやシカゴの薬(ヤク)の売人の内幕話、教育と人種の話など、興味の尽きない話は多いのですが、こちらは、わが国とはあまり関係のなさそうな話でして、気楽に読んでおけばよい気がいたします。

まあ、この先、格差社会、などということになりますと、親がどんな人物であるか、なんてことが子供の学力を決めるなどという研究結果は、少々恐ろしい事実を突きつけているような気もするのですが、、、

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です