いまだ見ぬ「涼宮ハルヒの驚愕」を読む

昨年のエイプリルフールに発売された「涼宮ハルヒの分裂」の続編は、6月1日発売、などと書かれた紙が挟まれていたのですが、見事に引っ掛けられました。

季節ネタを重視するハルヒのことですから、当然、エイプリルフールは重要なイベント。あっさり引っ掛かった人は、みんな馬鹿、としか言いようがありません。

しかし、期待されました七夕を過ぎても発売されず、いつまでたっても長門は熱を出したまま。これはあんまり、ということで、本ブログといたしましては、未だ出ぬ「涼宮ハルヒの驚愕」ですが、むりやり読むことといたしました。

まあ、本ブログの身上は、書物を読む際にも、書かれていないことを読むこと。普通は、行間を読んだり、眼光紙背に徹したりしているのですが、ま、同じやり方を踏襲いたしますと、存在しない書物だって読めてしまいます。ないならないで、別に構わない、というわけです。

と、いうわけで、早速、未だ見ぬ、同書を読むことにいたしましょう。

なお、本日の記事は、その内容に鑑み、すべてがネタバラシです。読む前に内容を知りたくない、とお考えの方は、このままページを閉じてください。

念のために、少し改行を入れておきましょう。

よろしいでしょうか?

さて、このお話は、前編「涼宮ハルヒの分裂」の続きでして、その名に違わず、αとβの二つのストーリーに分裂いたします。ここでは、長門が高熱に倒れたβから、まずお話を始めることといたしましょう。

【β】長門が熱を出して寝込んでいる、という情報をキャッチした涼宮ハルヒは、SOS団の全員に長門のマンションに向かうように命令いたします。これに逆らう団員がいようはずもなく、ハルヒを筆頭に、古泉、みくる、キョンは長門のマンションに急行いたします。

マンションの入り口はオートロックになっておりまして、朝倉転校の謎を調査したときと同様に「持久戦」を仕掛けるハルヒですが、マンションの管理人がこれを見付けてロックを開けてくれます。

管理人:おやおや、こないだのお嬢さんじゃないですか。どうしたんですかね?
ハルヒ:ここの708号室に住んでいる同級生の長門有希が熱を出して寝込んでいる、って聞いたからお見舞いに来たのよ
管理人:それはそれは

というわけで、あっさりと正面を突破、708号室のチャイムを鳴らします。元気なくドアを開けた長門、それでも「だいじょうぶ」などというのですが、ハルヒにむりやり布団に連れ込まれます。

ハルヒ、長戸の病状、熱が出てふらふらしている、などということを聞きます。

長門:病院にいって薬ももらってきた
キョン:ほんとうか? (どこの病院、どんな薬なんだっ!?)
ハルヒ:あんた、ちゃんと何か食べているんでしょうね
長門:……(台所を指差す。そこにはコンビニ弁当の残骸)
ハルヒ:こんなもの食べてちゃ駄目じゃない。みくるちゃん、お湯沸かして!

などと大騒ぎをしておりますと、チャイムがなります。ハルヒの命令でキョンがドアを開けますと、喜緑江美里さんが土鍋を持って現れます。

キョン:まさかそれ、おでんか?
喜緑:おじやをお持ちしました
ハルヒ:気が利くじゃない。で、コンピ研の部長とはうまくいっているの?
喜緑:もう、お付き合いはしていません
ハルヒ:賢明な決断ね。でも今は、つまらないこと言ってないで、それを台所に運びなさい
キョン:(お前が会話を振ったんじゃないか)
ハルヒ:みくるちゃん、これ、適当によそって食べさせてあげて頂戴
古泉:よ~くこんなものを持ってこれましたね。ひょっとすると、こちらにお住まいですか?
喜緑:はい。6階に
ハルヒ:それは良かったわ。ねえ、あなた、時々有希の様子をみてもらえないかな。本来ならば私が、つきっきりで看病するところだけど、ここ、出入りが不便なのよねえ
喜緑:もちろん、それは構いません。朝晩にはお食事をお持ちします。昼食は無理ですけど
ハルヒ:それで充分。人間、1日2回食べていれば死にはしないわ。1日3食という習慣は、人類の歴史の中では、ごく最近のことなのよ
キョン:(俺たちゃ現代人だっ!)
ハルヒ:ところで、どうして有希が熱を出しているってわかったの?
喜緑:鶴屋さんにうかがいました
ハルヒ:鶴屋さん? なんであの人が知ってたのよ
みくる:あ、それ、私が下駄箱のところで教えました

などと病人そっちのけで会話を弾ませている間に、長門はおじやを食べ終わり、いつまでもここにいるのも有希に悪い、という至極当然の配慮から、解散、となります。

で、あのカマドウマ事件と同様、ハルヒが帰ったあとで、キョン、みくる、古泉の3名がマンション前に集合、喜緑さんが彼らを自室に案内いたします。

で、作戦会議となるわけですが、ここでまず明かされるのは、喜緑江美里が長門有希に交替して任務に就くこと、古泉は機関に連絡し、既に機関はコンディションレッドを発令していることを語ります。で、古泉は、キョンに顔を近づけてこういうのですね。

古泉:あなたの責任は重大ですよ
キョン:こらっ、顔近いぞ。息が掛かる。で、なんで、俺の責任なんだ?
古泉:それはもう、佐々木さんはあなたの友人ですからね。敵対する組織の首領があなたの友人である、ということは、ある意味、好都合、といえるでしょう
キョン:う~ん、、、(びんぼうゆすり)で、俺はどうしたら良いんだ?
古泉:佐々木さんに頼んではいかがでしょう。こういうことをしないように。簡単な話じゃないですか
キョン:それがそう、簡単でもないようなのだな、、、
古泉:簡単なことではないくらい、僕にもわかります。ですから、機関は総力をあげて、あなたをバックアップしますよ
キョン:(おい、簡単なのか、簡単じゃないのか、どっちなんだ)まあ、俺が何とかするしかないのは、なんとなくわかった。考えてみるよ
みくる:……

とまあ、こんな調子で書いておりますと、あっという間にスペースをオーバーしてしまいます。そこで、以下は要点のみを簡潔に記載することといたしましょう。お話はα側のストーリーに移ります。

【α】こちらのストーリーは、SOS団に入団希望者が殺到する、というストーリーです。こちらは当然のことながら、ハルヒの入団試験が、最初の部分のお話の中心になるのですが、その前に謎が二つあります。

第一の謎は、キョンの風呂上りに掛かってきた電話の主は一体誰か、ということ。第二は、当初11人であったはずの入団希望者が、みくるちゃんがメイド服に着替え終わって室内に案内されたときには、なぜか12人になっていた、という点です。

まあ、これは私のあてずっぽうなのですが、電話の主は、ミヨキチの姉、というのがこれまで出ておりました登場人物の範囲では、最もありそうなことです。ミヨキチといいますのは、キョンの妹の友人で、妹と同い年ではあるのですが、見た目は大人、それもかなりの美人なのですね。

で、ミヨキチに姉がいるといたしますと、キョンと妹よりは年が接近していても不自然ではなく、「親切なおにいちゃん」などと吹き込まれておりますと、同じ高校に入学した機会に、ちょっとお付き合いをしてみようか、などという気にもなるかもしれません。

で、校内でキョンを見かけてあとをついていった先がSOS団。どうしようかと考えていると、新入生が室外に出されます。ちょうど良い機会と、この中に紛れ込んだ、というのが真相なのですね。

で、ハルヒの話に良い反応を示しているのが彼女でして、ハルヒの厳しい入団試験にも良く耐えます。まあ、それがどんなものかは良くわかりませんが、例題をあげれば次のようなものでしょう。

問1:「平凡の原理」に基づく「宇宙に人類以外の知的生命体は存在しない」とする証明を否定せよ。(正解はこちら

問2:タイムマシンが不可能である理由として、過去に遡って親を殺したとき、親を殺すという行為自体が不可能となるはずである、というパラドックスが知られているが、これに対する矛盾のない説明を、少なくとも3つ与えよ。

正解例:(1)殺害した時点で二つの世界に分岐する。(2)いくら頑張っても、なぜか、親は殺害できない。(3)殺害した瞬間にタイムマシンもタイムトラベラーも消滅し、親は正体不明の者(異次元からの来訪者など)によって殺害されたことになる。などなど

さて、ますますスペースがなくなってまいりました。要点だけを簡潔明瞭に述べることといたします。

αのストーリーでは、敵対組織のハルヒに対応する人物が誰か、ということにつきましては、「分裂」の段階では、あかされておりません。で、普通の人は、こちらも佐々木さんである、と考えておられるでしょうが、実は、αのストーリーで敵対組織にとってのハルヒは、なんとキョン、なのですね。

そもそもなに故に、ハルヒにこのような妙な力が備わったか、といいますと、知っている人は皆知っていると思うのですが、4年前の「校庭落書き事件」がその原因なのですね。

これまでのストーリー上からは、ハルヒがたまたま「私はここにいる」などという文字を宇宙共通語で書いてしまった、という事実だけが知られているのですが、これが異常な力をもたらすことになりました真の原因が、この場所の時空が異常にねじくり曲がった状態にあったためである、という事実はあまり知られておりません。(というか、この仮説は今ここではじめて私が持ち出しているのですが。)

思い起こせば、ハルヒの校庭落書き事件のこの時空点におきましては、キョンと朝比奈さん(小)は3回も訪れておりまして、朝比奈さん〈大)も来ております。このようなタイムトラベルが時空の歪を生じるのは当然なのですが、なんとこの瞬間、長門が過去を改変する、というとんでもないことをやっておりまして、さらにはキョン3がこれを元に戻す、などということまでしているのですね。

そのようなあれやこれやの操作によりまして、時空の歪は臨界を越えた状態になっていた。そんなところにハルヒのメッセージが出てまいりましたことから、この情報爆発が発生した、というのが真相でしょう。

なにぶん、単に、ハルヒと未来人、宇宙人、超能力者が存在するだけのSOS団部室にしてからが、とうの昔に異空間化してしまっているくらいなのですから、人畜無害の超能力者が不在であるとはいえ、複数の未来人と2回にわたる過去改変の歪が集中して加われば、いくら頑丈な時空といえども、その歪が限度を超えてしまうのもまたありそうなお話です。

で、α側のストーリーでは、実はこれをしでかしたのはキョンである、というのですね。思い起こせば4年前の七夕の夜、確かに、ハルヒの命令に従ってのことであるとはいえ、このメッセージを書いたのはキョン自身であったわけです。

で、新入団員テストも無事に済み、全員不合格。ミヨキチの姉もテストに不合格ですが、彼女は元々SOS団に入る気などさらさらないわけで、さっぱりしたもの。「これからもよろしく」などと笑顔で語られたその場所に、なぜか谷口、国木田などがいて、1年生に彼女(恋人)を見つけたがる彼らが口早に自己紹介するのを「やれやれ」などとキョンがつぶやいたところで、こちらの話は一件落着いたします。

で、橘京子に神役を演じることを求められたキョンはこういうのですね。
キョン:願い下げだ。そんなめちゃくちゃは、ハルヒに任せておけば良い

一方βのストーリーでも、佐々木さんが橘にこういうわけです。
佐々木:僕にはできない。ハルヒさんにやっていただくのが適任ではないのかね

で、例の閉鎖空間で、キョンとハルヒが熱い口付けをかわしたときのごとく、αとβの世界は融合、めでたしメデタシとなるお話。

ま、このお話の公開を角川が嫌ったその理由は、情報爆発のネタをばらし、「消失」をメインとする二期のアニメの興味を削ぐのでは、との危惧によるのではなかろうか、と邪推しております。ま、本当のところはわかりませんが、、、


この考察は、最終的に『「涼宮ハルヒの驚愕」を推理する』なる文書にまとめました。