さいころ賭博必勝法発見、んなわけないが、、、

EMANの物理学・量子力学というページをみておりましたら、こんな話が出ておりました。

サイコロを振った時に出る目の期待値は「3.5」である・・・というのは高校で習ったかも知れない。 しかしサイコロを1回振っただけではこの数字の意味は実感できないだろう。1から6までのどの数字が出るかはその時次第であって、 3.5 とはまるで関係ない。

しかし、何回振ってもいいから出た目の平均値×1000円をあげようと言われたら、少なくとも3500円は期待できる。繰り返すほどこの数字に近付くからだ。

さて、「何回振ってもいいから出た目の平均値×1000円をあげよう」といわれたときの実際の期待値はいくらでしょうか?

ちょっと考えてみますと、これは結構難しい問題であるように思えます。ひょっとして、高校の確率の問題あたりで扱われているのかもしれませんが、、、

何が難しいか、といいますと、さいころを無限回振ったときの出目の平均値は確かに3.5なのですが、最初に6が出たら、平均値は6であって、それ以上の平均値は期待できませんので、ここで打ち止めとするはずです。つまり、この勝負で期待される賞金は3500円よりも高い、ということになります。

5が出た場合もそこで勝負を止めたほうが得であるように思われます。では4が出た場合はどうするか、というのがまず第一の問題です。

まずは、4以上が出たら勝負を止める、3以下だったら永遠にさいころを振り続ける、という簡単な仮定を置いて、近似的に期待値Eを計算してみましょう。これは、割合と簡単でして、

E = (4 + 5 + 6) / 6 + 3.5 / 2 = 2.5 + 1.75 = 4.25

ふうむ、これでは、4が出た場合も勝負を続行した方が良さそうです。つまり、それ以後の期待値も4以上あるわけですから。上の計算では、3以下の目が出た場合の期待値を3.5と仮定していますが、任意の時点で勝負をストップできるという条件であれば、期待値は3.5より大きいはずなのですね。

そこで、5以上が出た場合は勝負を止め、3以下であれば永久にさいころを振りつづけることとし、4が出た場合、もう一度勝負して5以上が出ればそこでやめ、4以下であれば永久にさいころを振ることといたします。この場合の期待値は、次のようになります。

E = (5 + 6) / 6 + 3.5 / 2 + (4.5 / 6 + 5 / 6 + 3.5 x 4 / 6) / 6 = 4.236

あれれ? 先ほどよりも少なくなってしまいました。どうしてでしょうか??? 実は、上の式のかっこ内が3.92と、4よりも小さいためにそうなってしまうのですね。

そうなりますと、最初の作戦、すなわち、4以上が出たら打ち切り、それ以下なら永久に勝負を続ける、というやり方がベストなのでしょうか?

おそらく、そんなことはなく、永久に勝負を続ける過程で、平均値がある値以上になったら、そこで勝負を停止するのが良いはずです。

これは、いくらでも高い平均値になりえる、ということでしょうか? それとも、高い平均値が得られる確率は非常に低く、適当なところで打ち切ったほうが良い、ということでしょうか?

しかしこれは難しいですね。そこで、問題の方を簡単にしてみましょう。

新たな問題:任意の回数コインを投げて、表が出た割合×1000円を賞金として提供するというギャンブルでの、賞金の期待値はいくらでしょうか?

ふうむ、これなら簡単そうですね。何しろ、裏表の2通りしかないのですから。もちろん、コインを投げた場合、裏か表の出る確率がきっちり1/2であるという前提を置くことはいうまでもありません。

まず、1回目に表が出たらそこで止めます。表が出て1000円をもらえる確率は1/2であり、裏が出た場合、その先無限に試行を繰り返した場合の期待値は500円ですので、

1000 x 1/2 + 500 x 1/2 = 750円

が最低でも期待されることとなります。

さて、裏が出た場合、もう一度コインを投げます。表が出ても、そこで止めたら賞金は500円ですので、もう一度投げます。ここで表が出ますと、表が出た割合は2/3となり、666.6...の賞金が得られます。その他の場合は無限に試行を繰り返すといたしますと、

1000 x 1/2 + 666.6... x 1/8 + 500 x 3/8 = 770.83..円

が期待できます。

さて、最初が裏で続く2回の試行の内1回しか表が出なかった場合、つまり、裏-裏-表か裏-表-裏の場合は、その後2回連続して表が出た場合に600円の賞金が得られます。このようなパターンとなる確率は、2/8 x 1/4ですので1/16となります。その他のケースで無限に試行を繰り返すといたしますと、期待値は次のようになります。

1000 x 1/2 + 666.6... x 1/8 + 600 x 1/16 + 500 x 5/16 = 777.083..円

さらに、これらのケース以外で、最初の5回の試行の内2回しか表が出なかった場合、裏-裏-表-裏-表、裏-裏-表-表-裏、裏-表-裏-裏-表、裏-表-裏-表-裏の場合、その後2回表が連続いたしますと571.43円の賞金が得られます。5回の表裏の組み合わせで4通りのいずれかが出る確率は4/32で、その後連続して表が出る確率はその1/4ですので571.43円を得る確率は1/32、その他のケースで無限に試行を繰り返すといたしますと次の期待値となります。

1000 x 1/2 + 666.6... x 1/8 + 600 x 1/16 + 571.43 x 1/32 + 500 x 9/32 = 779.3円

まあ、だんだんと期待値の上昇は少なくなりますが、800円弱の期待値にはなりそうです。

いつでも勝負を止めてよい、というのは、ずいぶんと有利な話であるように思いますが、さて、これって本当でしょうか? なんか、勝ち逃げすればギャンブルは勝てるという、必勝法であるように思えるのですが、、、

もちろん、「出た目の平均値x1000円」というのが普通のギャンブルと違いまして、たいていのギャンブルは、試行1回ごとの勝負ですから、負けが続いた場合はマイナスが限りなく増えてしまいます。確かに無限に勝負を続ければ期待値は50%になるのでしょうが、最初に負けた分の損はそのまま残るのですね。

と、いうことは、出た目の平均値、などという勝負がもしあるといたしますと、それは必勝法がある、というわけです。なんか、うまい手はありませんかね?

その他、たとえば相場の予想であれば、任意の時点で予想を止めてよいというルールであれば、「的中率80%」などという数字は、仮にでたらめな予想であっても期待できる、ということになります。ふうむ、、、

裏表をあてるギャンブルで、表が出る平均値の期待値が80%もあるというのは高すぎるように思われるかもしれませんが、これは、最初に表が出る確率が50%あり、50%の確率で平均値100%が得られるからです。

これに対してさいころの問題では、高い目が出る確率はより低くなり、出目の平均値の期待値は、4.25と、永久にさいころを振りつづけた場合の平均値の期待値3.5から、それほど大きくはなりません。そういたしますと、目が無限にある、もっと一般的な場合はどうなるのでしょうか?

次のような問題は、簡単には解けそうにないのですが、どなたかチャレンジしてみませんか?

一般的問題:0~1の一様乱数を、任意の回数、連続して発生させるとする。平均値を最大とするための戦略と、これで得られる平均値の期待値を求めよ。