直交する電流間の力

今朝方のブログ(消去してしまいました)で、「時間変化するベクトルポテンシャルがベクトルポテンシャルの方向に電界を生じる」ということを書きました。これは、電磁界で発生する力が外部に仕事をした場合、これを逆起電力の形で電気エネルギーで補う必要があることからも要請されます。

このような作用がありますと、直交する電流間にも力が発生することになります。

すなわち、電流の流れている導体に近づく荷電粒子は、粒子に固定された座標系でみますと、導体に近いほど電流の作るベクトルポテンシャルが強くなりますことから、荷電粒子の感じるベクトルポテンシャルは時間とともに増大いたします。

この結果、荷電粒子に固定された座標系には、ベクトルポテンシャルの方向(電流の向きと同じ)に電界を生じ、粒子は電流の方向に力を受けることになります。すなわち、直交する電流間でも電磁力が発生する、というわけです。

おもしろい点は、時間変化するベクトルポテンシャルは電界を生じるのに対し、位置によるベクトルポテンシャルの変化は移動する電荷に力を生じる効果を生じます。後者を「磁界」と呼んでいるのですが、確かに、ベクトルポテンシャルに直交する電流にも、ベクトルポテンシャルと平行な電流にも力を与えるなら、rot Aで定義される磁界があると考えても、なんら不都合は生じません。

と、いうわけで、磁界を追放する根拠は消えてしまいました。

ただここであえてベクトルポテンシャルに注目する意味は、磁界が発生する理由を相対論で説明できるからでして、「電流の周りに磁場ができます」などという天下り的説明よりはよほど納得しやすいのですね。

ただし問題は、時間変化するベクトルポテンシャルがベクトルポテンシャルの方向に電界を生じるという現象を相対論できちんと説明しなくてはならない、という難問が残ってしまったことです。

この現象は、エネルギー保存則を満足するためにも必須ですが、「エネルギー保存則を満足するため」というのは理由にはなりません。エネルギー保存則というのは、なぜか結果的にそうなるという類の法則であり、それぞれの現象には、別途、物理的なメカニズムが存在しているはずなのですね。

まあ、このあたりまでまいりますと、物理学というよりは、もはや哲学の議論に近いのかもしれません。それにしては、えらく理科系的難問ではあるのですが、、、