風雲急を告げる半島情勢と国内政局

最近のBLOGOSに、いくつか表題のテーマでコメントを付けましたので、このあたりで簡単にまとめておきます。

朝鮮半島

2月13日午前9時にクアラルンプールで発生した金正男暗殺事件以来、北朝鮮に対する国際的な風当たりは一気に厳しくなっております。

一方の北朝鮮は、3月6日に4発のミサイルを発射し日本海の我が国の経済水域内に打ち込んだほか、22日午前7時ごろにもミサイル発射実験を行い、これに失敗したとの報道がなされております。更には、来月にも金日成の生誕105周年と軍創設85周年を控えており、これに合わせて改めて核実験やミサイル試射などの何らかの動きが起こるものとみられています。

一方の米韓は、大規模な軍事演習「フォールイーグル」を3月1日から2か月間の予定で実施中であり、これに合わせて空母カール・ビンソンを投入した海上軍事演習も実施されております。

更に、3月上旬にミサイル防衛システムTHAADが韓国に持ち込まれ、4月中には実戦配備される計画と言われております。

一方、韓国大統領選挙は5月9日投開票のスケジュールで進められておりますが、その有力候補ムン・ジェイン(文在寅)氏はTHAAD配備に反対しており、彼が大統領に就任した際にはその撤去を求められる可能性もあります。

THAADの運用だけを考えれば、米国が北朝鮮に対して作戦行動を起こすとすれば、4月下旬のTHAAD配備後から5月上旬の韓国大統領選挙前の間の極めて限られた期間が、その有力な時期ということになります。

その直前には、米韓軍事演習もおこなわれており、半島周辺に通常よりも多い米軍兵力が集結していることも、米国にとりましては好都合であるといえるでしょう。

米国の立場

米国にしてみれば、北朝鮮が米国本土を狙えるミサイル、特に核ミサイルなどを保有することは決して許せない事態であると考えるでしょう。

そして、さまざまな圧力によりこのような状況に至ることを防止するというのがこれまでの基本戦略だったわけですが、これがことごとく失敗に終わっており、今や北朝鮮が米国本土を攻撃可能な核兵器を保有するのは時間の問題と考えられております。米国にしてみれば、事ここに至れば、いずれかの時点で北朝鮮に対する軍事行動に移らざるを得ない。そしてその時期が早ければ早いほど、反撃を受けるリスクが低いことは自明の理です。

米国にとって、北朝鮮で事を起こすことの政治的リスクは、中国が北朝鮮を支援して米中の軍事対立に発展することなのですが、ここにきて中国と北朝鮮の間に隙間風が吹いており、米朝の軍事衝突に発展した場合に中国が北朝鮮支援に動く可能性は相当に低下しております。

更に、大統領選挙の段階でトランプ大統領は中国批判を繰り返していたのですが、最近ではそのトーンも低下しております。これには、トランプ氏の最近の政治的失敗、つまりはムスリムの入国禁止やオバマケアの廃止に国内の理解が得られていないことがその背景にあるのかもしれませんが、米国が中国との対立を当面は回避したいと意識的に動いていることがその背景にあるのかもしれません。

安倍政権の事情

昨今の我が国の政治情勢は、森友学園一色となっておりますが、じつは安倍政権の抱えている問題として、森友学園など大した問題ではないはずです。それよりも大問題は、7月に予定されております東京都議会議員選挙で、小池新党が大躍進し、自民党の都議会議員は半減する可能性が指摘されております。

現在の衆議院議員の任期は来年12月となっており、追い込まれ解散を避けるためには年内にも衆院解散をしたいところなのですが、東京都において小池新党の大躍進がありますと、衆院議員選挙においても首都圏で小池新党が躍進する可能性を否定できず、安倍政権が都議会議員選挙以前の衆院解散を理想的と考えることもありそうなことです。

都議会議員選挙と衆院議員選挙の時期に関しては、公明党への配慮から、この二つの選挙の時期を離すであろうとの予想がなされていたのですが、都議会において公明党が小池新党と結びついており、今や都議会議員選挙に関して自民党は公明党に配慮する理由を失っております。つまり、選挙がこの夏にも行われる可能性は高まっていたのですね。

ところが、4月末から5月上旬にかけて、朝鮮半島で軍事衝突が発生する可能性が高いとなりますと、先行きの不透明性は一気に高まり、6~7月に解散総選挙ができるかどうか、全く予想もつかない状況となります。逆に、朝鮮半島で緊張が高まるタイミングに衆院選となりますと、自民党には有利に作用する可能性が高い。つまり、安倍政権としては、4月末から5月上旬の総選挙に打って出る、という作戦が一つ浮上するわけです。

ここにまいりまして、森友学園の問題が大きな話題となっております。この問題で、安倍政権が致命的なダメージを被らないとの読みがあるならば、この問題に関する国民の審判を仰いで決着をつけ、政治の空白状況を解消することを一つの旗印として解散に打って出ることも、まったく理由がないわけでもない。

明3月27日には、予算も成立する運びとなっております。昨日(3月25日)には、安倍総理は人間ドックを受診しております。私には、さまざまなピースが同じ方向を向いているように思われます。ここは、近々、安倍政権は解散総選挙に打って出る、そう考えていろいろなことを準備しておくのが良いのではないか、私はそう考えております。

総選挙の行方

さて、総選挙が行われたとして、最大の問題は、その結果がどうなるかという点であろうかと思います。

これで自民惨敗となりますと、株式市場は大いに下げるでしょうし、自民大勝利なら大いに上げる。従いまして、総選挙の行方を占うことが当面の大問題ということになります。

結論から述べてしまいますと、自民大勝利の結果に終わるであろう、と私は予想しております。

現時点で、森友問題を巡って自民党に対しては批判も強いのですが、それは、真相を明らかにせよとの批判であり、政治的な不正を正せというよりは、ワイドショー的な興味、つまりはドラマの先を見せてくれといった批判であるように私には思われます。政治的な批判であれば、野党の支持率が高まりそうなものなのですが、そうはなっていないところがその裏付けであるように私には思われます。

ならば、対応は簡単なのであって、選挙戦の前半で、真相をみな明らかにしてしまえばよい。総理夫人が記者会見に応じ、行政の関連部署が経緯を説明する。そして、籠池氏の種々の犯罪に対して司法手続きを行う。そうすれば、少なくとも政府に対する国民の批判の大部分は解消するでしょう。そして、辻元疑惑など、森友問題に関しては反撃の手もいくつか残っているわけですから、これらをぶつけていけば森友問題が自民党の足を引っ張るということはほとんどないはずです。

そして、自民党側の最後の大爆弾は、蓮舫氏の二重国籍問題。何らかの具体的問題をつかんでおれば、これを炸裂させる、ということになるのでしょう。

これまでこの問題に関して、自民党サイドは、ほとんど批判らしい批判をしてこなかった。これは、蓮舫氏のためを思ってなどであるはずもなく、最後の切り札に温存したということでしょう。そしてそうまでする理由は、この切り札が決定的なものであったからに違いありません。

第二次朝鮮戦争の行方

さて、最後の大問題は、朝鮮半島で起こる軍事的衝突がどのような結果になるか、という点でしょう。

まず第一に、この作戦は金正恩氏に対する斬首作戦であり、おそらくは深部の地下壕を破壊できる地中貫通爆弾を用いた攻撃がまず検討されるはずです。

第二に、北側の反撃により、ソウルやその他の日韓の都市が被害を受けることを防止することが重要な課題となります。

ミサイルに対する備えは、THAAD、イージス艦、その他の地上配備型の迎撃ミサイルで、かなりの程度まで防御できるのでしょうが、問題は国境付近に配置されたソウルを狙う長距離砲とロケット砲です。

おそらくは、作戦開始後の早い段階で、これらの攻撃部隊に対する徹底的な空爆を行い、これらの兵器を無害化することが最優先で実施されるでしょう。

もちろん、指揮命令系統に対する攻撃が奏功すれば、これらの部隊に対する攻撃命令が下ることも防止できるのですが、おそらくはここまでの幸運は期待できず、ソウルには何らかの被害が発生するのではなかろうか、とみております。

いずれにいたしましても、北朝鮮には戦争を継続する力はなく、武力衝突開始後は数時間以内にも戦闘終結となるはずです。その後は、米韓両軍を中心とする治安維持部隊が展開し、食料・医療などの人道援助が直ちに行われることとなるのでしょう。

現在の朝鮮半島は、朝鮮戦争が依然として継続中との位置づけですから、この軍事衝突は第二次朝鮮戦争と位置付けられてしかるべきであり、最終的には国連軍がこの地を押さえることとなります。そしてその後どうなるかといえば、単純に韓国に併合するという形では中国側の納得が得られず、おそらくは、国連管理下の非武装地帯とするのではないか、と私はにらんでおります。

中国に対して譲れるもう一つのカードは韓国に配備されたTHAADであり、北朝鮮問題の解決後はTHAADを撤去するぐらいの約束を、米国は中国に対して行っているかもしれません。もちろん、来るべき大統領選で誕生するであろう韓国の新大統領も、THAADの撤去を公約とした方である可能性が高く、韓国のTHAAD撤去はいずれの国に対しても顔のたつ、まことに有意義な一手であるように私には思われます。

まあ、それを日本が買え、などということをトランプは言い出すのではなかろうか、などという悪い予感もするのですが、、、

我が国に対する経済効果

さしたる被害も出さずに朝鮮戦争の終結がなりますと、我が国に対するその経済効果は計り知れない。

まずは、緊急の食糧・医療援助がおこなわれ、道路橋梁電力などの社会インフラの整備が急速に進められるでしょう。これには、第一に自衛隊が出て行うことになるのでしょうが、その後は、民間の投資が集中的におこなわれるでしょう。

なにぶん、北朝鮮は人件費が安い。おまけに、日本には極めて近く、繊維雑貨や組み立て産業には最適な立地となります。半島東岸に港湾が整備され、その付近に大規模な工業団地が建設されることになるでしょう。

この夏の我が国は相当な好景気に沸く、これをメインシナリオと考えておくのが良さそうです。