右肩上がりのイケハヤ師のちょっとした勘違い

イケハヤ師は、景気の良いご宣託を下されております。

でも、何か変ですね。

会社という枠を飛び出せば、二次関数的に報酬を増やすことができるんです。

やり方次第、マーケット次第では、同じ努力でも二次関数的な曲線で伸びるんです。
努力すれば、成果が二乗で伸びていく。そういうやり方が可能であることに気づくべし。

どういうものが二次関数的に伸びるかといえば、答えは簡単。

仮想通貨なんかは、どう見てもすべてを満たしています。だから、二次関数的に伸びていく。

自分がやっていることが、二次関数的に伸びるものなのかどうかは、非常に重要なポイントです。

どうもイケハヤ師、「二次関数的」というキーワードでの検索にこのページをヒットさせようと、サーチエンジン最適化を行っているようです。でもこのような場合、普通は「指数関数的」と言い、二次関数的などという表現はいたしません。

指数関数とは、y = y0 * ax等の形で表現される関数で、y = b x2等の形で表される二次関数などよりもはるかに急峻な立ち上がりになるのですね。

なぜこの手の現象が指数関数になるかといえば、一定期間の資金の増加が比率で与えられることによります。たとえば、一年後には資金が二倍になるというなら、x年後の資金の額は上の式でaを2とすることで計算できます。

ただし、資金を指数関数的に増加させるためには、手持ちの資金をすべて投資し続けることが条件になります。つまり、最初の年に資金が二倍になったら、次の年はその二倍になった資金をすべて投資する必要があるのですね。

で、ここに落とし穴がある。毎年の資金の増加は、変動する、増えるときもあれば減るときもある、ということですね。それぞれの年の資金の増加をa1, a2, ..., an、で表せば、n年後の資金y(n)は次の式で与えられます。

   y(n) = y(0) * a1 * a2 * ... * an

ここで、akがすべて2であれば、上の式と同じ結果になるのですが、実際にはこの値が変動する。そして、平均的な増加率は、足してnで割る算術平均ではなく、掛け合わせてn乗根をとる幾何平均で与えられる、という点に注意しなくてはいけません。

算術平均と幾何平均の大きな違いは、一つでもゼロがあると幾何平均ではゼロになってしまう、という点なのですね。

FXは、レバレッジを掛ける「信用取引」が広く行われています。これは、手持ち資金を証拠金として差し出すことで、その何倍かの投資を可能とする制度で、FXの場合は10倍以上のレバレッジも行われているのですね。レバが10倍であれば、10%の相場変動で資金が二倍になるか、ゼロになるかいたします。そして、資金がゼロになれば、その時点でゲームセットということになるのですね。

もちろん、損切をきちんと行っていれば、さすがにゼロになることはあまりない。追証が発生するような事態を確実に避ければ、さすがにゼロということにはならないのですが、人間、熱くなってしまうと、自らに課したルールを忘れてしまう、などということも起こりがちで、現実の世界では悲劇がちょくちょく起こることになっております。

で、プロはどうするかといいますと、ヘッジする。ヘッジというのは、逆方向に値の動く投資を同時に行なうということで、株式と債券に同時に投資するとか、輸出産業株と円に同時に投資するとか、ロング(買い)とショート(売り)を同時に行なうとかいったことで、双方の相場変動がキャンセルされるようにいたします。

このヘッジ、人の主観的判断で逆方向に値動きするものに投資するというのはもちろんあるのですが、市場データに基づくきちんとした確率計算で必要にして十分なヘッジを如何に行なうか決めていく。これが近年おおはやりの「金融工学」というわけです。

もちろんここでキャンセルされるのは、自らが意図しない原因による相場変動で、たとえば輸出産業株であれば、円高になれば株価は下がるのですが、円を同時に買っておくことでこの損失はカバーされ、その輸出産業会社の実力のみが損益に効いてくることになるというわけです。

また、ヘッジしたところで、見通しを誤れば損をすることも大いにあります。

私が以前セガを注目していた時、NTTを売ってセガを買う海外のヘッジファンドがおおこけするのを見たことがあります。当時のNTTは、資産はたっぷりある巨大企業だけど将来性はあまりないと思われておりましたし、セガはゲームソフトで急成長してゲームマシンも出すということで、将来性が高いと考えられておりました。

この場合、セガを買うだけでなく、NTTを売っておけば、景気動向で株価が全体に上下する変動はキャンセルすることができ、セガとNTTの業績の差のみを損益に効かせることができたのですね。

まあ、このヘッジファンドは結果的におおこけしたわけで、セガがドリームキャストで大失敗をしでかし、NTTは逆に株価が上昇するという、このヘッジファンドにしてみれば泣きっ面にハチの状況となってしまいましたからたまりません。

投資は、上っ面だけ見て判断するものではない、きちんと実力まで評価しなくちゃいけないというのが、この一件の教訓ではありました。このファンドが注目したNTTとセガの評価は常識的なものであって、この程度の評価はすでに株価に織り込み済みだったのですね。この手の投資で勝つには、世間一般の常識を超える、情報なり知識といった、判断材料がなければいけません。

イケハヤ師、ビットコインとアルトコインの双方に投資することでヘッジしているつもりかもしれませんが、ビットコインがこけるときにアルトコインが運命を共にしてしまうと、ヘッジもくそもなくなります。仮想通貨の問題は、このあたりが難しいところで、実のところ、これらを何でヘッジすればよいか、なかなか判断に苦しむのではないかと思います。

まあ、それが、プロが仮想通貨に二の足を踏む理由ではないか、とも思うのですが、、、