経済再建への道のりは

今朝方のブログ(消去してしまいました)で、わが国はインフレ政策をとる必要があるということを述べましたが、このためには内需を拡大し、お金をモノに代えてもらわなければなりません。このために、具体的にどのような政策がありえるかを少し検討しておきましょう。

まず、10日前のこのブログで、わが国のとるべき経済政策といたしまして以下の3点を掲げました。

第一に、著しい不況期にあることを認識すれば、財政出動は避けられないこと。これは、すでに各国政府が取っている政策であり、わが国が一人ただ乗りを決め込むことは、国際協調の観点からもとりえません。

第二に、将来の国公債残高を圧縮するため、効率化すべきであること。このためには、公共投資をする際にはその経済効果を厳格に査定しなければいけません。また、行政機構の効率化と経費削減も急務です。

第三に、経済的に引き合う公共投資による供給資金が必要な財政出動の資金量を上回るなら、減税により資金供給をすべきであり、安易な公共投資には走るべきではありません。減税は、国費支出に対する経済効果は低いかもしれませんが、資金が国家から国民に移るだけであり、国全体ではなんらロスにはなりません。

内需主導で景気を改善するためには、国民にお金を使ってもらうか、国内での投資活動(企業が生産設備を増強したり、国や自治体が道路や港湾などの公共投資をすること)を活発にするしかありません。上に掲げました政策は、このような効果も多少なりとも備えております。

まず、公共投資は政府の意思ひとつでどうにでもなりますので、経済性のある公共投資や、国民の安全・福祉の上で必要な公共投資は計画を繰り上げてでも大いに行うべきです。

民間の設備投資や、個人の耐久消費財(住宅や自動車、家具、家電製品など)支出は、優遇税制により多少の増加は期待できるものの、景気の先行きに期待がもてない限り、その効果は限定的でしょう。

と、なりますと、残る部分は国民の消費を活発化することで何とかしなければなりません。国民の消費を活発化するためには、国民の収入をかさ上げすること、保有する富を増加させること(資産効果)などにより可能です。

赤字国債を発行して減税を行う場合、仮に国債のすべて国民が購入した場合にも、国民の収入は増加し、これをすべて国債購入に充てたところで、保有する富(国債という形での)は増加いたしますので、消費支出の増加が期待できます。

ただし国債残高が増えますと、将来の増税によりこれを償却する必要があることを国民が意識する結果、国民に借財意識も芽生える可能性があります。実質的な富は[資産-負債]ですから、国債の残高増に伴う借財意識を国民が抱きますと、資産効果は限定的となります。

これを避けるためには、将来における国債の償却は、増税によってではなく、主として行政の効率化によって行う旨を、強く国民に印象付けなければなりません(だませ、といっているわけではありませんので念のため)。

先日来議論しておりました政府紙幣の発行は、国債残高を増加させることなく政府が資金を得ることができますので、国民に借財意識を植え付けないという利点があります。(ただし、政府は国債と同様の借財意識を持つ必要があります。本来は、国民も、、、)

インフレのためのもうひとつの方法は、市中に流通するキャッシュを増加させることであり、日銀が国債を買い入れて満期まで保有すれば、市中に出回るキャッシュは増加いたします。

しかし、国民なり企業なりが国債を売却して得た資金は、消費や投資に回るかといえば期待薄であり、おそらくは他の債券なり株式なりに乗り換えることとなるのでしょう。この場合、キャッシュはまた別の人の手に渡り、これが同様に使用されることとなります。

これは、債券市場や株式市場に対する活性化効果があるでしょうし、株価が上昇すれば資産効果も生じるでしょう。しかし、最終的に海外への投資に流れたり、銀行に預金されて日銀に戻されてしまいますと、その時点で市場に出回るキャッシュは減少してしまいます。

また、デフレ時に日銀が購入する国債は一般に低利回りであり、将来インフレが進行して金利が上昇すれば日銀の保有する国債の時価は低下して評価損が発生します。このリスクを考えれば、そうそう多額の国債を日銀が保有するわけにもいかず、この施策の効果も限定的となります。

政府紙幣の発行は、日銀のリスク負担なしで市中流通キャッシュを増加させることが可能ですので、そういう意味では優れた政策ではあるのですが、日銀に代わってリスクをテイクしているのは政府であることをよく理解した上で、将来のインフレに備えた政府の管理体制をきちんと整えておく必要があります。

打ち出の小槌的理解で政府紙幣を濫発した場合にはハイパーインフレを招くリスクもあることをよく理解し、その回収体制を常に整えておかなくてはなりません。つまりは、政府紙幣発行によって得た資金の用途は、国債償却や外国債の購入などに限定すべきであろう、とわたしは考えております。

最後に、行政の効率化のためには、負の所得税と、道州制の導入が効果的です。負の所得税は、今日の硬直化した生活保障制度をより簡素化し、セーフティーネット充実による労働市場の弾力化を可能とするでしょう。また、道州制は、国と地方自治体の重複した行政機構を簡素化するとともに、産業活動の活発化も期待できます。

これらの行政効率化を実現することは、当然のことながら、公務員の既得権益を脅かすこととなり、強い抵抗が予想されます。これを乗り越えて政策を実行するためには、政治指導者の強いリーダーシップが要求されることはいうまでもありません。

現在首相の任にあります麻生氏にこの資質が欠けておりますことが、現今のわが国の不幸であるとともに、麻生氏に代わるべき人物といたしまして、このような資質を持つと自信を持って推薦できる政治家が見つからないことが、ただいまの大きな問題であるように、私には思われる次第です。