福島原発事故に関する普通の感覚-Bloombergのコラムから

アゴラは、以前はとんがった記事が多かったのですが、最近は迷走状態となってしまったような印象を受けます。原発に関しても、まだぐつぐつと意見が述べられておりますが、インパクトのある記事は出てまいりません。

一方で、Bloombergのコラムに興味深い記事がありましたのでご紹介しておきましょう。詳細はリンクをクリックしていただけば読めるのですが、特に注目される文章を以下に掲げておきます。

原子力の規制当局は北アジアを汚染する原子炉を廃炉にすることよりも運転再開にまだ集中しているようだ。東電はもっと悪いものを垂れ流しながら真っ赤なうそを言っている。にもかかわらず東電は国有化されていないし、役員陣は職にとどまったままだ。

ここで問題とされておりますのは、放射性物質に汚染された水が海へ流出している問題です。このような問題が起こるであろうことは、はるか昔に予想されていたことだったのですが、対策が後手後手に回っております。また、東京電力はこの事実を把握した後しばらく公表せず、参院選後に公表しております。

この対策は、本来東京電力の責任の下で行われるべきところ、既に東京電力は当事者能力を失っており、国が前面に出て対処する方向となっております。普通に考えれば、東京電力は一旦破綻処理すべきところ、そうはなっていない。これは海外から見ますと異常な状況であるように思われます。

ペセック氏はその理由を以下のように解説いたします。

福島の事故は日本株式会社の体制順応的な傾向に起因する人災で、回避可能だった。東電は安全性の記録をごまかし、数千万人の命を危険にさらした。

「数千万人」は少々オーバーに過ぎます。これはmillions(「数百万」の他に「多数」の意味もある)の誤訳かとも思いましたが、原文をみますと“Tepco fudged its safety record and put the lives of tens of millions of people at risk.”ですから、訳に間違いはなさそうです。こういうオーバーな記述をいたしますと、ここぞとばかりに、原子力村の村人たちに突っ込まれてしまいます。とはいえ、その他の部分は至極まともな記述となっております。先を続けましょう。

腐って危険なこんなシステムを増殖させるのは「原子力村」だ。電力会社と規制当局、官僚、原子力産業を擁護する研究者との癒着によって東電は長年、怠慢に対して何の罰も受けないで済んでいた。こんな関係やカネ、メディアへの影響力に裏打ちされた東電は、この2年半にわたり放射能汚染データをごまかし続けてきた。

で、対処を以下のように提示しております。(番号は私が振りました。)

日本政府は今こそ現実を見詰め、以下の6つを実行すべきだ。(1)まず原発の廃炉。(2)被害の規模を評価する独立監査人を海外から招致。(3)周辺地域が数十年間にわたり居住や漁業、農業には安全でない可能性を認めること。(4)革新的な解決策を世界中で模索。(5)原子力村の解体。(6)多額の汚染対策費用について日本国民に真実を伝えること。

まったくです。日本政府や業界への遠慮から面と向かってはいわないものの、このような考え方はおそらくは世界中の人の共通認識ではないでしょうか。また、日本の多くの国民も似たようなことを考えているのではないかと私は思います。

それが表に出てこない事情は、ペセック氏が先にかかれております「原子力村」の存在なのであって、これが変わらない限りペセック氏の提言も実行に移されることは困難であるように私には思われます。