イケハヤ師絶賛:ちきりん*梅原大悟対談「悩みどころと逃げどころ」を読む

本日ご紹介する書物は、ぐっと軽めの「悩みどころと逃げどころ」です。ご存知社会派ブロガーのちきりん氏とプロ格闘ゲーマーの梅原大悟氏の、足掛け4年延べ100時間にわたる対談を書籍化したものです。

1. 本書成立の過程

古くからのちきりん氏のブログをお読みの方には覚えている方もおられるかと思いますが、ちきりん氏、2013年のエイプリルフールに、梅原氏と対談した旨の記事を掲載し、以後、梅原氏がらみの記事のみをブログに書き続けると宣言いたしました。終了条件は「経団連が彼を講演に呼ぶその日まで!」。そして翌日からこれを実行し始めます。いったいどうなってしまったのでしょう、と多くの読者が疑問に感じておりましたところ、ちきりん氏、4/30のブログでその本意を明かします。すなわち、

・この企画はそもそもエイプリルフールネタだった
・たまたま、3月で月間PVが2百万を超えていたので、何か記念行事をしたかった

ということなのですね。まあ、どうでもよいような話ですけど、このネタでひと月引っ張ったのはご立派ともいえるでしょう。

さて、同書は、足掛け4年(実質ほぼ3年ですけど)ということは、この3/29の対談から現在に至るまでに間欠的に行われてきた対談を集大成した、ということなのでしょう。

2. イケハヤ師も絶賛

内容のご紹介は後ほど行うと致しまして、驚いたことにあのイケハヤ師が絶賛し、ご自身のブログでその1その2その3その4その5その6と、立て続けに紹介されております。この勢いは止まっておりませんので、これからもいくつか出ていくのでしょう。

人気ブロガーでありますちきりん氏の書物をプロブロガー(自称)でありますイケハヤ師が絶賛する。インターネットコミュニケーションを研究している者としては、一体何が起こっているのか検討する必要を感じます。というわけで、早速同書を取り寄せて読み始めた次第です。

3. 勝ち続ける、ということ

さて、内容のご紹介です。まずは、同書74ページから。

ちきりん:...大学入試の科目選択だって、「ホントは日本史のほうが好きだけど、点が取りやすい世界史を選ぼう」とか、「生き物に興味があるけど、物理のほうが得意だから生物は選ばない」みたいなことをする、ほんとうに馬鹿げています。
ウメハラ:ゲームだってそういうプレーヤーのほうが圧倒的に多いです。強い武器に頼って決まった型で戦えば、短時間で80点が取れるから。
ちきりん:勉強と同じですね。ちゃちゃっと80点を取る子が賢い子。
ウメハラ:そういうやり方って、新作ゲームがリリースされるスパンが短ければすごく有効なんです。実際、昔の格闘ゲームのスパンってだいたい1年ぐらいでした。だからゲームのリリース後、遅くとも半年後に開かれる全国大会で優勝さえしちゃえば、そのゲームの王者として認められる。だったら扱いやすくて強いキャラを使って戦えばいい。ゲームのスパンが短いと、要領よくさっさと結果が出せる人が勝者になる。
ちきりん:それも学校に似ていますね。中間だ期末だ入試だと、テストはタイミングが決まっています。だからそこで良い点を取るだけなら、一夜漬けで暗記して、翌日は何も覚えていなくてもいい。まさに私みたいな人が得意なパターンなんですけど。
ウメハラ:ところが今は格闘ゲームのスパンが延びたんです。つい最近までやってた「ストリートファイターIV」なんて7年以上続きました。そんなに長い期間、型にはまった戦い方をしていると、それを見て、「なるほど、そういうプレーなんだ」って、他の人でも真似をしたり対策したりする時間的な余裕が生まれる。だから次第に勝てなくなる。
ちきりん:長時間の勝負になると、要領のよさとか効率のよさだけでは勝ち続けられないってことね。まさに学校と仕事、もしくは、学校と人生の違いですよね。一夜漬けの能力だけで仕事ができたりはしない。だから学校エリートと仕事ができる人って、同じじゃないんです。

この部分、面白いですね。ビジネスの分野は、単に長期戦というだけではなく、競争の激しい分野はハードルが高いという問題があります。

つまり、簡単に儲けられる仕事は多くの人がやろうとする。その結果、競争が激化して、簡単に儲けるなどということはとてもできなくなるのですね。逆に、難しい仕事は、できる人が限られるため、競争はさほど激しくはならない。それができさえすれば、比較的容易に利益をあげることができます。

もう一つは、イケハヤ師の路線かな? つまり、簡単に儲けられることを彼も狙っているのですが、素早く参入するというのがイケハヤ師の戦略なのですね。簡単に儲けられるフィールドをいち早く発見して、いち早く参入する。これも、比較的簡単に利益をあげる道であるとはいえます。もちろん、どれだけ長く続けられるかという問題はあるのですが。

4. 学校教育の問題

6/19追記:同書は、学校教育に無駄が多いという主張をおこなっているのですが、この部分をみますと今日の学校教育の問題点が明らかになってまいります。つまり、今日我が国の学校で教えていることは、みんな同じにしましょう、ということなのですね。これでは、多くの学生をムリゲ―の世界に導いてしまいます。つまり、みんなが同じ事を始めたら、彼らの人生は、激しい競合のなかを生き抜くしかない、厳しいものになってしまいます。

周辺(フリンジ)の世界を教えること、それぞれが興味を持つ世界を個々に攻めるように仕向けること、これが本来の教育のあり方のはず。現在の教員にこういった教育をおこなうことは困難であるかもしれませんが、さまざまな分野の一芸に秀でた人(ウメハラ氏もちきりん氏もイケハヤ師もその好例)を招いて話をしてもらうなど、やり方を工夫すれば全く不可能というわけではありません。)

5. お金のためか、読まれるためか

次は、イケハヤ師が、まず、紹介しそうもない部分を166ページからご紹介しておきます。

ウメハラ:ちきりんさんだって、お金のために書いているわけじゃないでしょ?
ちきりん:まあね。でも私は「儲ける」って行為は大好きなんです。誰かがお金を財布から取り出して、それを差し出してくれる。そこまでして手に入れたい価値を自分が提供できるって確認できるのは、とても嬉しい。自分のやっていることの価値や、やや大袈裟だけど存在価値を感じられる。
ウメハラ:無料だから読む、ではダメってこと?
ちきりん:「無料だから読みます、有料だったら読みません」って言われたら、ちょっとつらいかな。そういうレベルの文章なんだなって落ち込みます。
ウメハラ:でもブログは無料で公開してますよね?
ちきりん:あれはね……お金じゃないですから。
ウメハラ:ほお、それは本音ですか?
ちきりん:皮肉なやっちゃな。さあどうでしょう!? たとえ自分のことであっても、本音はそんな簡単にはわからないというのは、そのとおりだよね。
とはいえやっぱりお金が行動指針になっているとは言い難いかな。私も文章でもっと稼げる方法、というか選択肢は今もあるんですよ。メルマガとかサロンとか、最近ではネットで文章を売るインフラも整いつつあるので、ブログを有料化すれば数百万円とか、もしかしたら1000万円くらい収入は増えるのかも。
ウメハラ:それをやらない理由は?
ちきりん:めんどくさいというのがひとつと、お金を稼ぐよりたくさんの人に読んでもらえるほうが嬉しいから。有料化すると収入は増えるけど、読者数は10分の1とか、そういう割合で減りますから。
ウメハラ:そりゃあそうでしょうね。でも最近はネット配信もそうですけど、ブログも有料化する人が多いのでは? それについてはどう思いますか?
ちきりん:他者のことはどうでもいいんですけど、さっきの話と同じで、自分の本音に気付かなくなるのどうかなって思います。
というのも、多くのブロガーは「たくさんの人に読んでもらいたい」とか、バイクや自分の住む町、好きな趣味など「○○の魅力をできるだけ多くの人に伝えたい」みたいなコトを言うんですけど、そういうことを言いながら有料化するのは、理屈が合ってないですよね。広く伝えたいことがあるなら、無料で開示したほうがはるかに効率が高いんだから。

この部分、ウメハラ氏がちきりん氏を攻めまくっていますが、最近のネットでもよく話題になる部分でもあります。それも、利益重視のイケハヤ師に反感を感じる人が多いのが現状なのですね。

6. 雑感

ブログなどをやっている人間は、どちらかといえば、多くの人に読まれることを第一優先に考えている人が多いのではないかと思います。もちろん、アフェリエイトで稼いでやろうと考える人も多いことは事実でしょう。でも、その手のページ、あまり内容がないのですね。ショッピングと割り切って覗くなら、それなりに面白いページなのでしょうが。

イケハヤ師の場合は、ネットでお金を稼いで、それ以外のことをやろう、というのが基本的姿勢ですので、如何に収益を改善するかという点が最大の関心事になることは当然であるともいえるでしょう。それで、若者に職を提供するというのは、社会的にも意義のあることだと思いますよ。

で、私のブログは、といえば、ちきりん路線。多くの人に読んでもらうことが第一優先で、宣伝もほとんど載せないし、アフェリエイトリンクも出典表示と書籍の購入の便を図るという意味が強いのですね。

もちろん、このアフェリエイトリンクでご購入いただきますと、私にもなにがしかのリターンが生じ、これはそれなりに嬉しいことではあるのですが、こんな弱小ブログで稼げる金額はたかが知れております。本代のごく一部で消えてしまうのですね。

今回読みました「悩みどころと逃げどころ」、楽天ブログでちびちびと稼ぎました楽天ポイントで購入いたしました。多分楽天ポイントを使うのもこれが最後になりそうな、ある意味記念すべき購入でもあります。なにぶん私は既に楽天を引き払っており、こちらのブログに貼りましたアフェリエイトはアマゾンへのリンクですから。まあ、これがたまるようでしたら、また書物を買わせていただきます。こちらのアフェリエイトも、ごひいきのほど、よろしくお願いいたします。

しかしこの本のアマゾンのレビュー、面白いですね。☆5つが多いのは良いとしても、次に多いのが☆2。好きな人と嫌いな人がはっきり分かれる書物なのですね。そしてもうひとつ面白いのが、ちきりんファンと梅原ファンがいて、アンチちきりんの梅原ファンも一定数存在するというのも面白い。個性的な人って好悪が分かれる、その典型例といったところです。

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