起業家になるには(その2):石田祐希氏の場合

昨日の記事の続編です。普段は同じ記事に「追記」としているのですが、独立した内容であるため、別記事といたします。

まず、石田祐希氏は、計画している事業内容を公開しております。これにつきまして思うところをいくつか書いておきます。

第一に、攻める方向は悪くはありません。自分が経験した苦労を取り除く製品なりサービスを事業化するというのは、起業をする際の視点として最強ではないかと思います。もちろん、このままですんなり立ち上がるとも思えませんが、自分が欲しいと感じるツールは、他にも求める人がいるはず。自分のやっていることがさほど特殊なことでないならば、同じような悩みを抱えた人も数多くいるに違いないのですね。

自らが経験した苦労を除くことを目的に起業することの利点は、提供しようとしている製品なりサービスが、ニーズがあり、市場もあり、そして競合はないことがあらかじめわかっている点です。競合に関しては、もしもそんな製品があるなら、最初から苦労しなかったはずです。少なくとも、苦労した際に何とかしようと努力しておれば、これを解決する製品の供給者、つまりは想定される競合相手を調査しているはずです。そして、そんな者はいないという結論が出ているはずなのですね。

さらに有利な点は、自らが経験した苦労を解決する製品であるならば、求められる製品の具体的イメージも把握しており、どうすれば解決できるのかも、おおよそつかんでいるはずなのですね。起業のおぜん立てはそろっております。私が起業に踏み切ったのも同じ理由でして、こんなチャンスはめったにない、起業に踏み切らない手はない、とすら言えそうです。

第二に、ちょっと変だと思うことは、これからTECH::CAMPに学びに行こうとしていること。そんなことぐらい先にやっとけよな、などという声が聞こえてきそうです。それに、せっかくマルチメディア系の学科に在学していたなら、この程度の技術は大学でも獲得できたはず。マルチメディア系であれば、単なるプログラミング以上の知識も得られたはずで、このビジネスで想定しているツールを卒業研究にするという手も取りえたのではないかと、私などは思ってしまいます。

もちろん、大学でこういうことをしようといたしますと、時間がかかるのが難点で、その間授業料を払い続けるのもかったるい、と思われることはよくわかりますし、そういうことであるなら致し方ないでしょう。そして、大学で漫然とプログラミングを学ぶのに比べて、明確な目的意識を持ってTECH::CAMPに行くなら、それはそれで極めて有意義かつ効果的なやり方であるようにも思えます。

その他、イケハヤブログに書かれていた「はてブ・コメント」に「名古屋にいる非常に優秀な友達って本当に友達?」というのがありましたが、この部分は私にも妙に気がかりな部分で、ちょっと注意した方が良いように感じております。とはいえ、これがわかるのは当人だけ。ここは注意喚起に止めておきます。

また、けんすうブログで触れております資金調達ですが、私は、それが必要欠くべかざるものでない限り、外部の資金は入れるべきではない、と考えております。私の場合は、資金面に余裕がありますので、外部資金の導入は考えていないのですが、外部資金を導入するのであれば、以下の三点に関しては充分に検討すべきでしょう。

第一に、利益が減ってしまう。せっかく大きな利益の狙える良い着想がありながら、外部の資金を入れてしまうと自分の取り分が減ってしまうのですね。

自分では自分のことをよく知っているのですが、外部の人間は私のことをよく知らない。このため、私を信用するという、もう一つのリスクテイクを行う必要があり、これを取り分に上乗せしなくてはいけません。これは私から見れば損な話なのですね。

第二に、外部資金を導入すれば、開発は早くなるかもしれない。今回の石田氏の場合であれば、スピード勝負という面も無きにしも非ずで、そうであるならある程度の見通しが得られた段階で、外部資金を導入して充分な開発要員を確保して、一気に製品化する、という道も合理的であるように思われます。

これはターゲットが明確で市場もそこにある場合の話で、果たしてこの製品がどうであるのかが問題です。逆に、これが明らかでない段階で外部資金を導入すると、スケジュールに縛られて不十分な製品で立ち上げて、より優れた製品を他社に出されて成果をさらわれる恐れも多分にあるのですね。

第三に、信用の問題があります。米国のITバブルのころは、ITビジネスなら何でも投資しようという人が多数おり、ビジネスプランを作文すれば巨額の資金が集まる、などという時代もありました。もちろん中には優れた着想もあり、これらが今日大きな成功を収めているのですが、大多数のプランは水泡に帰しております。

本人は大まじめでも、投資する側からみれば詐欺師的に思われる危険もあります。おかしな評判が広がると先々困ることにもなりかねず、外部資金を導入する際には、プランの合理性を十分に検討しておくことと、出資側としっかりと意思疎通しておくことが大事ではないかと思います。

と、いうわけで、石田祐希氏の企業化案は、いろいろと危うげな要素は含むものの、まずまず妥当なプランではないかと思います。もちろん、現段階で得られる情報だけでは、先はほとんど見通せないことも事実ではあります。

まあ、だから起業は面白い、ともいえるのですが、、、